業界データ · 2026年10月3日

IFR「World Robotics 2026」を読む:ロボットが生産現場に広がるスピード

2025 年に世界で新たに設置された産業用ロボットは 60 万台を超え、そのうち 59% が中国でした。レポートの主要な数値と、ロボット AI にとっての意味をまとめます。

主要な数値

国際ロボット連盟(IFR)は 2026 年 9 月 24 日に「World Robotics 2026」を発表しました。主なポイントは次のとおりです。

指標(2025 年)数値
世界の産業用ロボット稼働台数約 500 万台(前年比 9% 増)
世界の新規設置台数60 万台以上(前年比 11% 増)
中国の新規設置台数35.4 万台(前年比 20% 増、世界の 59%)
中国メーカーによる中国国内の設置台数19.5 万台(国内シェア 55%)
米国の新規設置台数約 3.85 万台(前年比 12% 増、世界 2 位)
日本の新規設置台数36,219 台(前年比 19% 減、世界 3 位)

IFR は、世界の設置台数が 2026 年に 9% 増の 65.5 万台、2029 年には 80.6 万台に達すると予測しています。

注目すべき 3 つのシグナル

第一に、中国は引き続き最大のロボット市場です。 2025 年の中国の設置台数は前年の過去最高を約 6 万台上回り、中国国内では中国メーカーの販売台数が海外メーカーを上回りました。

第二に、成長を支えるのは AI と使いやすさです。 IFR は、人工知能、マシンビジョン、センシングの進歩がロボットの能力を広げ、プログラミングやシステム統合の容易化が導入コストを下げ、新しい用途や顧客層に自動化を広げていると指摘しています。

第三に、サプライチェーンと産業政策が地域構造を変えています。 レポートは、サプライチェーンの強靭化や通商・産業政策の変化が製造業の生産移転を促し、高賃金国や人手不足の地域で自動化の需要を押し上げているとしています。

ロボット AI にとっての意味

ロボットが増えるほど、現場で行うべき判断も増えます。部品の認識、指示の理解、例外への対応などです。こうした判断はますます AI モデルに依存しており、ロボットの電力、放熱、リアルタイム性の制約から、「ローカルで実行する」ことが重要な設計の方向性になっています。

IFR が強調する導入コストと統合の難しさは、ロボットメーカーにとってチップの使いやすさが、モデルをどれだけ早く載せられるか、統合にどれだけのエンジニアリングが必要かと密接に関係していることも示しています。VXI がツールチェーンと開発元によるエンジニアリング支援を、チップと同じくらい重視しているのはそのためです。

出典:IFR「World Robotics 2026」プレスリリース(2026 年 9 月 24 日)。

参考資料

  1. International Federation of Robotics, World Robotics 2026 press release (2026-09-24)